2019年度の前期週末スクリーリングにおいて、経営学特講(市川佳功先生)を受講したのでその内容についてまとめておきます。
今回の履修登録人数は184人との事です(概算ですが、出席率はかなり高そうな印象)。
なお、本科目につきましては内容の詳細は割愛し、アウトライン程度の浅さでのまとめに留めておきます事をご了承願います(授業の雰囲気を掴める程度)。
【参考】
2日目のまとめはこちら
3 日目(最終日)のまとめはこちら
概要
日時:2019年6月23日(日)1時限目〜4時限目
会場:富士見ゲート4階 G403教室
担当:市川佳功先生
配布物:以下の通り。
スライド配布資料:資料A(条文等)、資料B(事例や資料、通達例など)
注意事項:本授業において板書をスマホのカメラで撮影する際、撮影音で他の受講生の気が散るため「ここで板書の写メを撮って下さい」と言うので、そのタイミングでのみ撮影してほしい。
※なお、参加してみての印象として、シラバスに記載の【授業計画】通りには進まない模様(アドリブ多い)。
授業内容
第1回
1.導入
法人税とは?
そもそも法人というものについて、「会社を見たことがあるか?」との問いに対して「見た」という回答は、この講義では嘘となる。なぜならば、法人とは自然人が利用する制度であり、故に目に見えない。
自然人にかかる税金と、法人にかかる税金を制度上分離した。
法人という「箱」に入ってきた儲けに対して、一旦課税する税が法人税である。また、その法人という「箱」からその所有者たる株主に対して配当として分配される儲け(すなわち、計算上のみならず実際に金銭が支払われているのでそこから税金を支払える)に対して課税する税が所得税(配当に対しては配当所得という区分にて課税)である。今回の科目では主として法人税を扱う。
ここまでの全体像を理解していると、この後の内容が理解しやすい。
同族会社・特定同族会社について
(シラバスに無い部分)
「同族会社」今後の内容では特に意識しないが、一応触れておくという扱い。
第2回
1.前回授業の補強説明
前回授業の最後に取り扱った同族会社・特定同族会社について補強説明。
2.租税法の法源
(昨年の所得税法の授業でも話したが)「租税法」という法律は無い。国が国民に税を納めてもらえない時には、強制的に徴収する。これは「国が国民の財産を取る行為」である。命こそ取られないが究極の侵害行為であり、だから法律に定める必要がある。従って、租税法は侵害規範である。
- 憲法 国と国民との関係を規律するということで、まず憲法で定められる
- 法律 具体的
- 命令 行政が作成(国会:民主主義で定めていないため、法律ではない)
- (通達)法源ではない
(1)憲法
国家と国民の間の規律(日本国憲法第14条、第30条、第84条)。
(2)法律
- 国税通則法(納税義務、更生、決定、延滞税など)
- 国税徴収法(滞納処分、他の債権との優先劣後など)
- 法人税法
- 消費税法
- 所得税法
- 相続税法(贈与税を含む:贈与は相続税の回避方法)
- 租税特別措置法
- 地方税法
【配布資料】
法人税法第2条第十三号、第22条の2第4項
『法人税基本通達の制定について』
第3回
1.余談
本日の午前中に、経営学特講と経済学特講の教室を間違えて受講している人がいた。毎年1〜2人いるので要注意(過去に、最終回の試験を受ける辺りになって間違いに発覚した人もいたので要注意)。
計算式(税務会計)を学ぶ方は大石先生の方で、また法学部に租税法があるがそちらは文学部生などが出られないので、本科目は路線として「なんちゃって租税法」でやっていく。
※私見ですが、おそらく「法人税法について根本的な、基本的考え方の理解を重視する」という意味かと思われます。
2.租税法の基本原則
(1)租税法律主義
- 課税要件決定主義
- 課税要件明確主義
(2)租税公平主義
租税法の解釈
原則:文理解釈(言葉通りの意味で理解する)
例外:拡張解釈、類推解釈→目的「租税の公平の実現」
文理解釈では法の趣旨(租税の公平の実現)を実現できないときに、例外として拡張解釈や類推解釈を行う。
課税要件
納税義務の成立→納税義務の確定→履行
(課税要件の充足)→(納税額の確定)→(納税・徴収)
課税要件
- 納税義務者
- 課税物件
- 課税物件の帰属
- 課税標準(金額・数量)
- 税率
上記の課税要件1.〜5.が明らかになると、課税要件が充足される。
そして、充足タイミングは以下の通り。
所得税:暦年の終了時(自然人)
法人税:事業年度終了の時(事業年度がいつからいつまでなのかは各企業の自由だが、とにかくその事業年度の終了時点)
※「なぜそのタイミングなのか」→制度がそう定めているから。
税額の確定方式
- 自動確定方式(成立と同時に税額確定)
- 申告納税方式(事業年度終了の翌日から2ヶ月以内)
- 賦課課税方式(課税庁の処分により確定)
3.課税要件の各論
(1)法人税
- 納税義務者(法人税法第4条)
- 課税物件「所得」(法人税法第5条)
- 課税物件の帰属
- 課税標準「所得の金額」(法人税法第21条及び第22条)
- 税率「所得の金額×23.2%」(法人税法第66条第1項)
第4回
1.余談
法人税は「企業で株式会社」を想定すればよい。
「企業はなぜ経理をしなければならないか?」について、法律でやらなければならないと定められているから。なお、経理とは「計算して帳簿に記録する」。
2.会計・財務諸表
財務諸表とは、その会社が作った「状況の報告書」。
- 企業会計(狭義)金融商品取引法(金融庁)
- 会社法会計 会社法(法務省)
- 租税法会計(税務会計)法人税法など(財務省)
会計トライアングル
企業会計(狭義)と会社法会計は「見た目は(目的が違うので)違うが、最終的な利益は同じ」なので「広義の企業会計」。
【参考】
法人税法第5条、同第21条、同第22条第1項、同第2項、同第3項。
益金の額に算入すべき金額
- 資産の販売
- 有償・無償の資産の譲渡
有償・無償の役務の提供 - 無償の資産の譲り受け
- その他資本等取引以外のもの
上記1.〜4.に係る「収益の額」。
損金の額に算入すべき金額
- 収益に係る売上原価、完成工事原価、(これらに)準ずる原価
- 販売費・一般管理費、その他費用
(債務の確定しないものを除く)逆に言うと、確定しているものを計上。 - 損失の額(資本等取引以外のもの)
例えば火事で焼けた資産を捨てたら損失。
法人税法第22条第4項「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」
会計トライアングルの「企業会計(狭義)」と「会社法会計」は、目的は違うが仲間(会社法第431条)であり、会社法第431条の「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」とは企業会計(狭義)のことである。
一方、租税法会計(税務会計)の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」における「会計処理の基準」とは、税法独自の処理基準である。
では、企業会計(広義)の「企業会計の基準」と税法独自の「会計処理の基準」は一致するか、不一致か?
【参考】
会社法第438条第2項→法人税法第74条
事例1
初日の感想
やはり終日(9:00〜17:00)受講するというのは体力・気力が必要となる印象でした。
個人的に1限目と4限目では、明らかに自身の集中の程度に差がありました。
授業の中身としては、市川先生はかなり知性を感じさせる語り口で、講義を聴いていて飽きない(知的好奇心を刺激してくる)感じの印象でした。
授業の進め方としてはテキスト(教科書)を使用せず、配布資料は法律の条文や事例集という内容ですので、従って板書の書き写しと口述の書き取りが勝負の授業だと思います。
その後、授業の時間外で書き取ったノートを読みながら復習ベースで取り組めば、とりあえず単位は狙えそうです。
【関連記事】
2日目のまとめはこちら
3日目のまとめはこちら
成績発表はこちら
(アップ次第、リンク追記予定)