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【麒麟がくる】第1話『光秀、西へ』|大河ドラマあらすじと感想

麒麟がくる

令和2年1月19日(日)放送の大河ドラマ『麒麟がくる』第1話、『光秀、西へ』のあらすじと感想です。

歴史好きとして注目した点や、徳川家康公ファンとして作中の家康公を追っていきたいと思います。

以下、ネタバレもあります。

【麒麟がくる】第1話『光秀、西へ』あらすじとネタバレ

第1話『光秀、西へ』の公式あらすじです。

領地を荒らす野盗を撃退した際、明智光秀(長谷川博己)は、その頭領が持っていた「鉄砲」という見たことのない武器に興味を持つ。美濃守護代・斎藤氏の名跡を継ぐ斎藤道三(本木雅弘)に掛け合い、ある約束と引き換えに、鉄砲がどういうものか探る旅に出る。堺ではひょんなことから三好長慶の家臣・松永久秀(吉田鋼太郎)に気に入られる。次に向かった京では、名医と名高い望月東庵(堺 正章)と出会うが、大のばくち好きで、本当に名医なのかヤブ医者なのかわからない。そんな中、大名同士の抗争が始まり、町は大火事になる。

引用元:第一回「光秀、西へ」 | あらすじ | 『麒麟がくる』

冒頭・明智荘での野盗撃退

大河ドラマ『麒麟がくる』記念すべき初回の冒頭、最初の画面は「千五百四十七年 室町時代末期」という字幕から始まりました。

西暦1547年は和暦だと天文16年となりますが、大河ドラマ(時代劇)の画面で西暦表記を目にするのは少々意外な印象があります。

ちなみに、天文16年前後の主な出来事はこちらにまとめておきます。

さて、歌舞伎役者・市川海老蔵さんのナレーションで京の都は戦乱に疲弊し、その乱が各地に飛び火していったことなどが語られて、いよいよ美濃国・明智荘(あけちのしょう)の緑豊かな田畑が、そして長谷川博己さん演じる主人公・明智光秀が映ります。

この明智荘に、馬に騎乗した野盗が攻め入ってきます。

早速の戦闘シーンですが、騎乗した野盗の人数が思った以上に大人数登場したり、明智荘の田畑やあぜ道などが奥行きのある立体感を感じさせる映像となっていて、合戦でこそないものの見応えがあります。

地の利を活かして序盤は優勢に戦うものの、多勢に無勢、野盗は村の米俵を奪い撤退していきます。

その最中、野盗の頭が鉄砲を撃ち、銃弾が光秀をかすめて後ろの味方に命中します。

撤退した野盗が置き去りにした人として(人買いに売り飛ばされようとしていた。この時代には人身売買が行われていました)、岡村隆史さん演じる三河出身の山菜採り・菊丸が登場します。

ここで光秀は菊丸から「鉄砲」という名前と、鉄砲がどのような物なのかを初めて聞きます。

藤田伝吾「よろしゅうございました、我らの勝ちにございます」

光秀「——我らの勝ち? 野盗どもはまた来るぞ! その度にこの有様だ!」

燃える田畑を眺めながら、光秀は問います。

光秀「何度戦えばここを守れる、何度戦えば!」

そして、いよいよオープニング映像が流れます(今作の時代考証は小和田哲男先生です)。

道三との対面と旅立ち

明智城に帰還した光秀は、西村まさ彦さん演じる光秀の叔父にして明智城城主・明智光安に野盗との戦いの報告と、斎藤道三への増援要請直訴を訴えますが、光安には却下されてしまいます。

美濃・稲葉山城にやってきた光秀は、伊藤英明さん演じる斎藤道三の嫡男・斎藤龍興に遭遇して城内に招かれます。

この稲葉山城下なども、中々セット作りに予算がかかってそうな見応えを感じました。

いよいよ、本木雅弘さん演じる美濃の守護代・斎藤道三が登場、光秀と対面します。

ここで三方(さんぽう:今日では鏡餅を載せる台としておなじみ)に載せられた珊瑚の数を、道三から「いくつある?」と問われる光秀は「2千を少々超えるかと。数珠ならば一連で108個、20人分で2,160個となります」と即答し、道三から「汝の名は?」と関心を持たれます。

ここでかつて、光秀が龍興と共に学んでいた事や、四書五経を僅か2年で読み終えたという光秀の頭脳明晰ぶりが披露されます。

道三と龍興の会話から、親子の溝が垣間見えます。

光秀は道三に野盗が「鉄砲」という新しい戦道具を持っていたことを報告し、美濃を出たことがない自身の見識を広めるために、堺見物や鉄砲の調査をすべく旅の許可を求めます。

道三は「そもそも旅の許しを出して、儂に何の得があるというのだ。儂は得にならぬ事はやらぬ事にしておる」と言い、鉄砲には興味ない様子。

しかし光秀は機転を利かせ、京から医者を連れてきて、病にかかっている道三の妻を診させるよう進言することで、ようやく旅の許可と旅費を出してもらう事に成功します。

自宅での母・牧との会話にて、光秀は「土岐源氏の末裔」であることが示されます。

堺への旅路

いよいよ堺への旅を始める光秀。

比叡山では僧兵が通行料を徴収しており、曰く「ここを通りたければ1人15文を置いていけ」と言い、支払えない者には容赦無く暴行を加える中を光秀は通過します。

なお、当時の貨幣価値を現代に換算すると(本来は換算が難しいので参考程度に)、戦国時代の1文=80円程度だったとすると、通行料15文=1,200円程度という感じです。

ただし、通行人のセリフから、何回も徴収されているようでしたので、道を通り抜けるまでの総額はもっと高額を取られていたようです。

また、この後の旅路では人が何人も縄で繋がれて歩かされるシーンがあり、細かいですが「戦国時代は人身売買が行われていた」ことを印象付けます。

堺での出会い

いよいよ堺に到着した光秀は、鍛冶屋「辻屋」を訪れ、谷原章介さん演じる室町幕府の将軍奉公衆・三淵藤英や、吉田鋼太郎さん演じる三好長慶の家臣・松永久秀に会います。

藤英が鉄砲の試し撃ちを光秀にも見せるが、藤英曰く「鉄砲は戦には使いものにならない道具」という評価(先見の明はないようですが、当時の感覚だと一般的な評価かも)。

鉄砲の納期は通常2〜3ヶ月かかり、将軍直々の要請でも1ヶ月はかかるとのこと。

ちなみに、この「辻谷」の店主・宗次郎は大御所声優・大塚明夫さんが演じています。

そして藤英の去り際に、久秀が現れます(ここでの久秀と宗次郎の会話劇は中々見応えあり)。

久秀の怒涛の「美濃アゲ・道三アゲ」で光秀と意気投合、強引に光秀を夕食に誘い、一晩呑み明かします。

この作品で描かれる光秀は、結構酒癖が悪いかもしれません(酒に酔った光秀は、道三を「けち臭い」などと罵ります)。

そうして光秀は酔潰れて気を失います。

東庵・駒との出会い

翌朝、目がさめると路銀がありません。

久秀に盗まれたかと思いきや、何と鉄砲が1挺置いてありました(ネットでは「久秀サンタ」などと呼ばれることに)。

鉄砲を手に入れた光秀は、京の都に向かいます。

度重なる戦で荒廃した都の様子が描かれます。

名医を探し回り、ついに堺正章さん演じる医者・望月東庵と、門脇麦さん演じる東庵の助手・駒に出会います。

ギャンブラー東庵の借金のせいで金に困る駒は、光秀に美濃へ行けば100貫くらい貰えるかと尋ねますが(戦国時代の100貫=100,000文=8,000,000円くらい。なお『麒麟がくる』公式サイトでは「1貫=約15万円。100貫だと約1500万円」とのこと)、光秀は出すと答えます。

しかし東庵は当初、金では動かぬと美濃行きを拒否します。

東庵の「大名の診察は二度としない」という理由を聴き、光秀は「誇りを失わぬこと」に共感し、東庵を美濃へ連れて行くことを諦めます。

そこに突如、街に火を放つ連中が現れ、先ほど東庵と双六をしていた少女が燃え盛る家の中に取り残されていると聞きます。

光秀は水をかぶり、燃える家の中に突入して何とか少女を救い出します。

救助後、駒が光秀に自身が幼少の頃に東庵に拾われた戦災孤児であることなど、身の上話をします。

自身が戦災に遭った時に救ってくれた「大きな手の人」が、駒にかけた言葉を光秀に伝えます。

駒「いつか、戦は終わるって。戦のない世の中になる。そういう世を作れる人が、きっと出てくる。その人は、麒麟を連れてくるんだ、って。麒麟というのは穏やかな国にやってくる、不思議な生き物だよって。それを呼べる人が、必ず現れる。麒麟がくる世の中を——だから、もう少しの辛抱だ」

続けて言います。

駒「明智様は、お梅ちゃんを助けた『大きな手の人』ですね」

光秀「私の手はそんなに大きくない。旅をして、よく分かりました。どこにも、麒麟はいない。何かを変えなければ——誰かが。美濃にも京にも、麒麟はこない」

ここで、作品タイトルの『麒麟がくる』を回収するとは中々いい感じです。

おそらくこの光秀と駒の会話こそが、この『麒麟がくる』という作品のカギだと思われます。

東庵が、ついに美濃行きを引き受けます。

織田信秀の美濃攻めへ

一方その頃、美濃国の隣国・尾張国では織田信秀(信長の父)が美濃攻めの軍勢を率いて美濃を目指します。

迎撃の準備に入る稲葉山城で、川口春奈さん演じる道三の娘・帰蝶が登場します。

第1話はここで終わります。

次回は、織田信秀と斎藤道三が激突する「加納口の戦い(井ノ口の戦い)」が描かれますが、第2話タイトル「道三の罠」というのは既にネタバレなのでは……

歴史好きの感想と注目ポイント

歴史好き、日本史好きとして私が気になったポイントは次の2点です。

1547年(天文16年)前後に起きた出来事

大河ドラマ『麒麟がくる』第1話冒頭時点、つまり1547年(天文16年)前後に起きた主な出来事は以下の通りです。

  • 1541年(天文10年)武田晴信(後の武田信玄)が父・信虎を追放して当主交代。
  • 1543年(天文12年)種子島にポルトガル船漂着、日本に鉄砲伝来(火縄銃)。
  • 1546年(天文15年)足利義輝が室町幕府・第13代将軍に就任
  • 1548年(天文17年)長尾景虎(後の上杉謙信)が家督を継ぐ。
  • 1549年(天文18年)斎藤道三の娘・濃姫(帰蝶)織田信長に嫁ぐ
  • 1549年(天文18年)松平竹千代(後の徳川家康)が今川の人質として駿府へ出立

『麒麟がくる』第1話の前後では、武田信玄や上杉謙信の登場、鉄砲伝来、室町幕府の第13代将軍就任、織田信長と帰蝶(斎藤道三の娘)の結婚、そして我らが徳川家康公(当時は松平竹千代君)の人質生活スタートと、様々な動きがある時期だと言えそうです。

このような時代で『麒麟がくる』は物語の幕開けとなりました。

土岐源氏とは?

まず、源氏という氏族があり、その中でも清和天皇の子孫を清和源氏と呼びます。

源氏(みなもとうじ、げんじ)は、日本の氏族のひとつ。姓(カバネ)は朝臣。

日本において皇族が臣下の籍に降りる(臣籍降下)際に名乗る氏のひとつで、多数の流派がある。

(中略)

また、清和天皇の子孫である清和源氏は武家の棟梁を多く輩出し、鎌倉幕府を開いた源頼朝や室町幕府を開いた足利尊氏などがいる。戦国時代の武将松平元康も後半生には清和源氏を自称して徳川家康と名乗り、江戸幕府を開いた。

引用元:源氏 - Wikipedia

その清和源氏の中の摂津源氏の中の美濃源氏の一族が、土岐源氏(土岐氏)です。

土岐氏(ときし)は、鎌倉時代から江戸時代にかけて栄えた武家。清和源氏流摂津源氏系美濃源氏の嫡流として美濃国を中心に栄えた軍事貴族の系統。

南北朝時代から戦国時代にかけて美濃国守護を務めるとともに室町幕府の侍所頭人として幕閣の一角を占め、最盛期には美濃、尾張、伊勢の3か国の守護大名となった。戦国時代には近江の六角氏、京極氏、越前の朝倉氏・尾張の織田氏・伊勢の北畠氏など周辺大名と争うも、斎藤道三の下克上により没落した。庶流にあたる明智光秀・浅野長政・土岐定政(菅沼藤蔵)らは戦国武将として各地の大名に仕え頭角を現し、江戸時代には浅野家、土岐定政家が大名として存続した。

引用元:土岐氏 - Wikipedia

明智光秀は土岐源氏の庶流ということで、劇中で母の牧から「土岐源氏の末裔」である旨のセリフがあったわけです。

ちなみに第2話に登場する美濃国の守護大名・土岐頼純は土岐源氏の嫡流です。

鉄砲(火縄銃)の値段は?

当時はまだ、日本に鉄砲が伝来した4年後であり、当時の鉄砲は1挺で2,000両=1億円という説もあります(出所:【鉄砲1挺に2億円?!】おんな城主 直虎が驚いた火縄銃の値段と、戦国日本への普及 | 歴人マガジン)。

さすがに現在価格で1億円は高すぎるかもしれませんが、当時はまだ鉄砲伝来直後で国産化もされていないため、かなり高価だった事は間違いないようです。

今週の徳川家康公

我らが家康公は、残念ながら第1話には登場しませんでした。

参考サイト

本記事内での貨幣価値換算の根拠はこちら。

戦国時代の貨幣の単位換算 現代であれば、1万円=(1,000円×10)=(100円×100)=(10... | レファレンス協同データベース

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