椿姫観音(つばきひめかんのん)は静岡県浜松市にある御堂です。
引間城(後の浜松城)城主・飯尾連竜の死後、その妻・お田鶴の方は城を守るために徳川家康公と一戦交え、そして討ち死にしました。
椿姫観音は、そのお田鶴の方を祀る御堂です。
椿姫観音の縁起
引間城城主・城主飯尾連竜の死後、その妻・お田鶴の方は引間城を守るために家康公と戦い、そして落命しました。
浜松城
今川氏・吉良氏・飯尾氏時代
(中略)
今川氏の衰退後、城主飯尾連竜が今川氏真に反旗の疑惑をもたれ、永禄8年(1565年)に今川軍に攻囲され多大な損害を被るが、陥落は免れた。この時今川からの和議勧告を受諾した連竜は、戦後に今川氏再属のため駿府への大赦御礼に出向いたが、和議は謀略で、連竜は殺された。以後の曳馬城は、連竜の家老の江間氏によって守られるも城内は徳川派と武田派に分裂して内紛が起きていたため徳川家康によって早期攻略された。一説ではその後、連竜の未亡人・お田鶴の方を中心とした飯尾氏の残党によって守られるが、家康が永禄11年(1568年)12月にお田鶴の方に使者を送り城を渡せば妻子共々面倒を見ると降伏を促すもお田鶴の方が拒否し続けたため、家康が兵を使って攻め込み、お田鶴の方が城兵を指揮して奮戦したが侍女と共に討死にした。また、お田鶴の方を祀った「椿姫観音」が城の近くに残っている。引用元:浜松城 - Wikipedia
家康公との合戦で討ち死にを果たしたお田鶴の方と侍女18人は、この地に手厚く葬られました。
その折、たくさんの椿の木を植えて供養されたことから、椿姫観音と呼ばれるようになったそうです。
椿姫観音 ( つばきひめかんのん )
家康公との戦いに敗れた第五代引間城の女城主椿姫の伝説が残る場所椿姫とは、引間城第5代城主で女城主であったお田鶴の方のこと。お田鶴の方は永禄11年(1568)に徳川家康公に攻められ討ち死にしました。家康公の正室、築山御前はその死を哀れに思い、塚の周囲に百株あまりの椿を植えてお田鶴の方の霊を祀ったことから、椿姫観音と呼ばれています。
椿姫観音の由来となる椿を植えたのは、家康公の正室・築山殿(瀬名姫)だったそうです。
椿姫観音
椿姫観音は交差点の角に建っています。
近隣の建物と比較すると分かる通り、大変小さい御堂です。
こちらが、椿姫観音の御堂です。
御堂の側面からは内部がほぼ全て見えます。
御堂前には石碑があります。
椿姫観音は『浜松家康の散歩道』の順路でもあります。
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椿姫観音には寺額のようなものは見つかりませんでしたが、入口上部にはこのようなものがあります。
御堂の中に入ると、まず右下に祈願石があります。
こちらが、その祈願石です。
祈願石の奥には、椿姫観音を紹介する新聞記事のスクラップや、掲示物などが展示されています。
こちらには椿姫観音の由緒も書かれています。
曰く、桶狭間の戦いで今川義元が討ち死にした後、今川領の駿河国へ侵攻する機会を伺う家康公が、今川家重臣の引間城主・飯尾乗竜に対して、徳川方へ寝返るよう幾度も勧誘した結果、引間城内では今川派と徳川派に分裂しました。
今川義元の後を継いだ氏真は乗竜が裏切るのではないかと疑い、永禄8年(1565年)乗竜を謀殺してしまいます。
乗竜の嫡男・義廣はまだ幼少のため、その母であるお田鶴の方が代わりに引間城主となりました。
引間城は地理的に見て必要な城であったため、この機を逃さず家康公が攻撃を仕掛けました。
永禄11年(1568年)12月24日、奮闘するも多勢に無勢で落城間際となった時、お田鶴の方とその侍女18名は薙刀を手に徳川勢と戦い、そして討ち死にを果たしました。
女性ながら天晴れな最後、また不憫にも思った家康公は、この御堂から西北に約5mくらいの位置にお田鶴の方と侍女らを手厚く葬り、塚を築いて祠を建てました。
この塚は御台塚と呼ばれました。
また、家康公の正室・築山殿(瀬名姫)も塚の周りに100本余りの椿を植え、供養しました。
椿姫御殿の御堂は昭和19年(1944年)に建立されましたが、浜松空襲で焼失し、昭和27年(1952年)に再建され、現在に至っています。
近年は御堂に観音像を祀り、椿姫観音としてお田鶴の方の遺徳を偲び、冥福を祈っているそうです。
(『史跡椿姫観音堂由来記』を元に筆者作成)
他にも、椿姫=お田鶴の方を描いた可愛らしい作品も展示されています。
こちらが、椿姫観音の内部正面です。
柱に備え付けられているスイッチを押すと、音声案内が流れる仕組みです。
こちらが、椿姫観音の賽銭箱です。
戦国時代の合戦は男性が行うものでした。
しかし、お田鶴の方は女性ながら合戦で討ち死にを果たした、しかも相手は家康公だというのですから、大変勇敢な散り様であったと思います。
そんなお田鶴の方への敬意をもちまして、合掌——
アクセス・案内情報
- 名称:椿姫観音
- 住所:静岡県浜松市中区元浜町133
- 交通:遠州鉄道鉄道線「八幡駅」下車徒歩約6分