2019年度秋期スクーリング『経営管理論Ⅱ』の講義を受講開始したので、興味のある項目を中心にまとめたいと思います。
本科目は春期スク水曜6時限目、経済学部商業学科では専門選択必修科目となっております。
担当は春期スクーリングの経営管理論Ⅰに続いて、松本潔(マツモトキヨシ)先生で、大変人当たりの良い語り口で授業して下さり好印象の先生です。
なお、おおむね授業2回分を1記事にまとめるペースで進めたいと思います。
第1回「オリエンテーション」および「経営管理論Ⅰ」の振り返り
概要
2019年9月25日(水)6時限目
配布物:以下の通り。
- プリント:2019年度・秋期『経営管理論Ⅱ』
- スライド資料:春期講座の振り返り資料「伝統的管理、人間関係、近代的モチベーション&リーダーシップ論」
オリエンテーション
配布物:2019年度・秋期『経営管理論Ⅱ』の内容に沿って、「出席状況の調査手続き」に関する説明、「単位認定条件」に関する説明、「授業の進め方」に関する説明、「テキスト・参考書」に関する説明、「次回以降の授業スケジュール」に関する説明、単位取得試験の実施予定日」に関する説明。
「出席状況の調査手続き」に関する説明として、全授業の1/2以上の出席がなければ単位取得試験の受験資格がなくなる事の説明(本科目では7回以上の出席が必要とのこと)。
「単位認定条件」に関する説明として、平常点30%+単位取得試験70%での判定になると説明。単位取得試験の試験内容は授業の総復習的な内容になるとのことで、持込不可にて実施(あくまでも「個人的印象」ですが、毎回の授業を真面目にきちんと受講して、通常程度の準備をして試験に臨めば単位を頂く事は出来そうな印象)。
「授業の進め方」に関する説明として、各回の授業で取り扱うテーマの分類を説明。
- 第1回:オリエンテーション
- 第2〜4回:経営管理の近代的な管理論、「組織論的管理論」と「意思決定論の諸理論」
- 第5〜7回:組織の環境適応理論についての諸理論
- 第8〜10回:組織文化論の諸理論
- 第11回:意思決定のゴミ箱理論
- 第12回:組織認識論(ワイク「組織進化論」)
- 第13回:知識マネジメント論
- 第14回:これまでの振り返りと実践的事例検討、今後の理論的な展望や総括
「テキスト・参考書」に関する説明として、毎回の授業時にプリント配布あり、他に初回配布の理論集を使用する事を説明。
「次回以降の授業スケジュール」に関する説明はシラバスの通り。
「単位取得試験の実施予定日」に関する説明として、試験実施予定日は2019年1月15日(水)18:50〜19:50で実施との事。
※注意事項等は『法政通信7・8月号』P.90等参照。
第1回 伝統的管理、人間関係、近代的モチベーション&リーダーシップ論
春期スクーリング「経営管理論Ⅰ」の振り返り。
- 伝統的管理論の人間観
→「機械人(経済人)」 - 人間関係論の人間観
→「社会人(情緒人)」 - 近代的モチベーション・リーダーシップ論の人間観
→「自己実現人」 - 経営管理論Ⅰ(春期)の振り返り
- 経営管理論Ⅱ(秋期)への展望
第2回 近代的管理論Ⅰ(C.I.バーナード)
概要
2019年10月2日(水)6時限目
配布物:以下の通り。
- スライド資料『法政大学「経営管理論Ⅱ」第2回』
- 学説集(授業で取り扱う各理論についてまとめられているプリント集)
なお、参考書は経営管理論Ⅰに続き、藤芳誠一(泉文堂)『経営基本管理』で、学説集は本著の抜粋との事。藤芳氏は松本先生の恩師だそう。
内容
バーナードの近代的管理論について学習。
特徴として、バーナードは「公式組織(フォーマル組織)」にスポットを当てた。
バーナードの近代的管理論では、人間観について「主体的人間観」を提示(ただし、名称はバーナードではなくサイモンが名付けた)。
また、バーナードは「組織」の定義として有名な定義を提唱した。
「意思決定の理論」の系譜としては、バーナードの理論がサイモンにつがなっていき、今日にも大きな影響を与えている。
(2)バーナードの問題意識
「集合主義」と「個人主義」について、バーナードは「どうバランスをとるか?」を理論的に検討した。
(4)協働システムと組織
「協働システム」の定義、「システム」と「組織」の定義について。
(5)組織の成立要件
組織の成立要件(組織の三要素)
- 協働意欲(貢献意欲)
- コミュニケーション(伝達)
- 共通の目的(企業でいうと最高次元のものは「経営理念・哲学」
上記1〜3が相互作用を及ぼしている。
余談ですが筆者の実体験として、従業員らのモチベーションが低下していく状況に居合わせた事がありますが、この「組織の成立要件(組織の三要素)」を用いて分析する事で、以下のように理解できました。
企業における「共通の目的」にあたる経営理念が不明瞭、かつ経営層とミドル層の間での「コミュニケーション(伝達)」が慢性的に不十分な企業では、確かに従業員らの「協働意欲(貢献意欲)」が右肩下がりに日々低下していくという事例について、「組織の成立要件」における各要素間の相互作用で説明がつくと筆者は納得しました。
(そして、それはつまり「組織の成立要件(組織の三要件)」が満たされない企業は、組織として崩壊するのでは……)
(6)組織の存続条件
「いかに組織を維持していくか?」という話。
バーナードは以下の2つの概念を提示した。
- 「有効性(効率)」組織の目標達成度
- 「能率」協働による個人の同期の満足度
上記1〜2両者のバランスをとっていく事が重要であり、バーナードはそれを経営者(あるいは管理者)の役割であると提唱した。
(8)組織過程における経営者の役割
学説集「図表14-2」参照。
バーナードは協働システムにおける組織過程を経営者の役割であるとし、以下の組織過程を提示した。
- 「専門家」共通目的の細分化(役割分担)
- 「誘因」動機付けの過程(協働意欲)
- 「コミュニケーション」
上記2.について、従業員による組織への参加が維持されるのは「誘因≧貢献」の場合であり、もし「誘因<貢献」となる場合は従業員が組織離脱(企業であれば転職)を選択する事になる(ICバランス)。
上記3.について、上司による命令の権限は「上位権限説」すなわち上位者に権限の源泉が存在すると考える伝統的管理論とは異なり、バーナードは「権限受容説」すなわち上司による命令の権限は部下に受容された時に成立すると提唱した。
感想
今回の授業内容で最も感銘を受けたのは、やはり「組織の成立要件(組織の三要素)」の項目でした(個人的な理由によりますが)。
バーナードは「組織とは2人以上の人々の意識的に調整された活動ないし諸力の体系(システム)」であると定義したそうですが、それはすなわち組織には必ず自分以外の人間が存在するという事に他ならない訳であり、よって、例えばどれほど職務遂行能力の高い人が経営トップであるとしても、組織を成立させている要件を省みなければその企業組織は瓦解していくと考えられます。
今回学習した内容は、バーナードが1930年代に提唱した理論だそうですが、今日の企業経営にも十分に通用する理論だという印象を受けました。
次回の授業はサイモンだそうなので、そちらも楽しみです。