家康ゆかりの茶堂(観音堂)は、埼玉県さいたま市大宮区三橋2丁目にある千手観音像を祀る観音堂です。
この観音堂前の道を徳川家康公が通った際、里人から渋茶を振る舞われて喜んだ家康公が茶堂と名付けたそうです。
JR大宮駅から西武バスに乗り、バス停「三橋二丁目」で下車すると目の前です。
【関連サイト】
さいたま市/赤山街道 大宮道(西区土屋~中央区本町東)
はじめに(茶堂・観音堂とは)
さいたま市教育委員会の設置する看板には、以下の通り書かれております。
歴史散歩コース-三橋-
茶堂
ここは三橋2丁目です堂内に千手観音像が祀られているので観音堂が正式名称ですが、昔から「茶堂」と呼ばれ親しまれています。前の道を東へ向かうと与野・大宮・岩槻、西は川越へ至ります。この道を通った徳川家康が疲れて当地で小休止したところ、里人が渋茶をふるまい、喜んだ家康がここを茶堂と名付けたという伝えがあります。
茶堂は並木村萬福寺持の観音堂で、同寺第24代の儀明和尚が江戸時代末の嘉永〜安政頃に寺子屋を開いていました。江戸近郊の当地は、与野・川越を通しての商品流通が多く、“読み書きソロバン”が必要とされていました。和尚は「天下一のぼろ先生、仮名さえ読み兼ね随時入門」の木札をかかげ、ときには宝生流の謡曲を教えるユニークな先生で“茶堂先生”とも呼ばれていました。村の文化人で、人々に愛され尊敬されていたことと思われます。
かつては県道幅も狭く境内が広かったので、庭で野球をしたり、雨の日には堂内で遊んだりと年配の方にとっては思い出の多い所です。敷石供養塔は近在85か村の協力により、通行量の多い川越道に敷石をした記念に、寛政12年(1800)に建てられたものです。川越・岩槻を結ぶ道の重要度が伺い知れるものです。さいたま市教育委員会
生涯学習部文化財保護課
つまり、ここも徳川家康公ゆかりの史跡だという事です。
また、この観音堂については江戸時代に編纂された地誌『新編武蔵風土記稿』にも以下の通り記載されております。
寺院 萬福寺
觀音堂千手觀音を安ず、萬福寺持、一に茶堂と號す、其故を詳にせず、
引用元:蘆田伊人[1981]『大日本地誌大系14新編武蔵風土記稿第8巻』(雄山閣)
P.122「新編武蔵風土記稿巻之百五十五 足立郡之二十一 寺院萬福寺 觀音堂」
家康公ゆかりの地である旨の説明はありませんが、ただ『新編武蔵風土記稿』が編纂された時代、すなわち文化〜文政(1804年〜1829年)の頃には既に観音堂があり、加えて「茶堂」と呼ばれていた事は間違いないようです。
なお、この茶堂は「側ヶ谷戸歴史散歩コース」及び「大宮・川越道歴史散歩コース」にもなっているようです。
順路
JR大宮駅で下車して、西武バス「大宮駅西口」から指扇駅行きに乗車します(他のバスでも行けますが、今回はこのルートを選択しました)。
西武バス「三橋二丁目」で下車します。
県道165号を挟んで反対側が茶堂ですので、近くの横断歩道で横断して向かいます。
家康ゆかりの茶堂(観音堂)
見ての通り、茶堂はトタン屋根の建物です。
右奥は墓地となっております。
また、入口左手に敷石供養塔があります。
敷石供養塔
側面には「寛政十二」や「武州足立郡並木村」などの文字が掘られています。
南無阿弥●●
今回、帰宅後にインターネットで調べてみても分からなかった物が1つありました。
この看板の下に横たわる石には文字が掘られております。
「南無阿弥」までは読めるのですが、後の2文字が読めませんでした。
さいごに
ここまでご覧いただきました皆様にはお分かりの通り、この史跡は「家康公ファン」向けだと思います。
節操なく「とにかく家康公ゆかりの地なら何でも良いから見たい行きたい」という筆者のような方なら、一度足を運んでみる事をオススメいたします。
そうでない方にとっては、おそらくただの建物にしか見えない(史跡としては、という意味で)と思います。
率直に言えば、少なくとも「観光スポット」ではないです。
ただ、大宮駅からバスで下車して目の前という立地で訪れるのは手軽なため、家康公ファンの方ならば、一度は見ておいても良いと思います。
※あくまで筆者の個人的な感想です。
案内情報
名称:家康ゆかりの茶堂(観音堂)
住所:埼玉県さいたま市大宮区三橋2丁目
交通:大宮駅西口より西武バス「三橋二丁目」下車すぐ
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